50代になったら、「何を買うか」より先に考えたいこと

50代になったら、「何を買うか」より先に考えたいこと

50代になると、資産運用の記事でよく目にする言葉があります。

「そろそろ守りの運用を考えましょう」

株式の比率を下げて、債券を増やす。

年齢に合わせてリスクを落としていく。

考え方としては、私も基本的に賛成です。

でも、「50代だから株式を減らしましょう」と言われると、少し違和感があります。

大切なのは年齢そのものではありません。

私はまず、こう考えます。

「あなたは何のために、そのリスクを取っているんですか?」

NISAではなく、資産全体で考える

たとえば52歳の会社員。

NISAに1500万円、ほとんどがS&P500。現金が500万円、iDeCoにも株式投信が500万円あるとします。

住宅ローンがあり、退職まであと10年ほど。

この人が「50代なので、NISAの半分を債券にした方がいいでしょうか」と聞いてきたとします。

私なら、すぐに「そうしましょう」とは答えません。

まず考えたいのは、NISAではなく、この人の資産全体です。

NISA、iDeCo、預金、その他の金融資産。

それらを全部並べてみる。

NISAは、あなたの資産のすべてではありません。

だから、NISAの中だけで無理に分散させる必要もありません。

NISAには非課税という大きなメリットがあります。

それなら、期待リターンが高く、将来の値上がり益も大きくなりやすい株式をNISAで保有し、債券などはiDeCoや課税口座で持つという考え方もあります。

大切なのは、

「NISAをどう分散するか」

ではなく、

「自分の資産全体をどう配分するか」

です。

私は、NISAという箱を最適化するのではなく、資産全体を最適化した方がいいと考えています。

600万円減っても、普通に眠れますか

では、この52歳の人は株式中心のままでいいのでしょうか。

ここでも年齢だけでは決められません。

仮に株式中心の2000万円が、暴落によって1400万円になったとします。

600万円減ります。

それでも普通に眠れますか。

仕事に集中できますか。

家族に当たらず、いつも通り生活できますか。

そして何より、怖くなって株を売らずにいられますか。

「大丈夫」と本当に思えるなら、株式中心の運用を続ける選択肢はあります。

まだ資産形成の途中で、目標まで距離がある。収入も安定している。暴落しても売らない自信がある。

それなら、50代だからという理由だけで株式を減らす必要はないでしょう。

一方で、600万円減ったら毎日資産残高を確認してしまう。

ニュースを見るたびに不安になる。

「もっと下がる前に売った方がいいのでは」と考えてしまう。

それなら、少しリスクを落とした方がいいかもしれません。

リスク許容度というと難しく聞こえます。

でも私は、

「資産がいくら減ったら夜眠れなくなるか」

という話でもあると思っています。

株式はアクセル、債券はブレーキ

株式100%が悪いわけではありません。

ただ、株式を世界中に分散していても、株式という資産そのもののリスクは残ります。

S&P500から全世界株式に変えたからといって、株式の大きな値下がりから逃れられるわけではありません。

そこで、債券や現金など、違う役割を持つ資産を組み合わせる意味が出てきます。

私は株式をアクセル、債券をブレーキのように考えています。

ブレーキを付けるのは、速く走るためではありません。

安心して走り続けるためです。

投資も同じです。

期待リターンを最大化することが、必ずしも人生の最適解とは限りません。

大切なのは、自分の目的に必要なリターンを考え、そのために必要なリスクだけを取ることです。

「取れるリスク」と「取る必要のあるリスク」は違います。

リバランスにも、時間を使っていい

そして資産配分を変えると決めても、NISAの株式を慌てて売る必要があるとは限りません。

たとえば、今後の積立資金を債券へ回す。

iDeCoの配分を変える。

課税口座で債券を買う。

時間をかけて全体の比率を調整する方法もあります。

リバランスにも、時間を使っていいのです。

私は、相場を予想して資産配分を頻繁に変えることを勧めているわけではありません。

むしろ逆です。

自分に必要な資産配分をあらかじめ決めておく。

株が大きく上がって比率が増えたら、元の配分へ戻す。

暴落して株の比率が下がったら、やはり元へ戻す。

相場に合わせて自分の考えを変えるのではなく、相場が動いたら自分で決めた場所へ戻る。

私は、その方が長く投資を続けやすいと思っています。

市場から降りないために

投資で一番避けたいのは、暴落そのものではありません。

怖くなって市場から降り、そのまま戻れなくなることです。

だから私は、資産が育ってきた人ほど、

「もっと増やすには何を買えばいいか」

だけではなく、

「自分は何のために、このリスクを取っているのか」

を一度考えてみてほしいと思います。

そして、もしすでに十分な資産があり、これ以上リスクを取る必要がないのなら、無理に投資を続ける必要さえありません。

周りがNISAをやっているから。

株が上がっているから。

現金ではもったいないと言われたから。

そんな理由で、自分に必要のないリスクまで取る必要はありません。

投資の目的は、投資が上手になることではありません。

必要以上のリスクを取らず、自分の目的に必要な範囲で市場に居続ける。

それくらいでいいのだと思います。

投資は、ほどほどに。

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