5000万円貯めたあなたへ。そろそろ「使うこと」を考えてもいい

5000万円貯めたあなたへ。そろそろ「使うこと」を考えてもいい

65歳。会社員生活を終えて、金融資産は5000万円。

現金1000万円。NISAなどの株式投信3000万円。債券1000万円。住宅ローンは完済し、公的年金も受け取れる。

長い会社員生活、本当にお疲れさまでした。

5000万円が勝手に貯まったのなら、それはそれですごいことです。

でも、おそらくそうではないでしょう。

欲しいものを少し我慢した。

外食を控えた。

旅行では少し安いホテルを選んだ。

「これ、本当に必要かな」と考えて、買うのをやめた。

そんな小さな選択を何十年も積み重ねてきた結果が、5000万円なのだと思います。

だから今度は、こんなことを考えてみてほしいのです。

あなたは、何のために5000万円まで貯めたのでしょうか。

お金を増やすゲームには、ゴールがない

老後に旅行するためでしょうか。

美味しいものを食べるためでしょうか。

趣味を楽しむためでしょうか。

家族に何かをしてあげるためでしょうか。

それとも、5000万円という数字を6000万円、7000万円にするためでしょうか。

お金を増やすゲームには、自分でゴールを決めないと終わりがありません。

5000万円の次は6000万円。

6000万円になれば、今度は1億円が見えてくる。

上には、いくらでも上があります。

一方で、人生の残り時間は増えません。

65歳の100万円と85歳の100万円は、通帳の上では同じ100万円です。

でも、その100万円でできることまで同じとは限りません。

旅行する。

新しい趣味を始める。

何かを学ぶ。

子どもや孫と出かける。

大切な人と美味しいものを食べる。

お金の価値は、残高だけで決まるものではありません。

使える時間や体力によっても変わります。

お金は、使って初めて人生の何かに変わります。

思い出になるかもしれない。

自由になるかもしれない。

安心になるかもしれない。

自分の成長になるかもしれない。

家族の可能性になるかもしれない。

5000万円という残高は、それらに変わる前の「可能性」でもあるのです。

「使っても大丈夫なお金」を先に決める

もちろん、だからといって5000万円ある人全員に「どんどん使いましょう」と言いたいわけではありません。

年間の生活費はいくらなのか。

公的年金はいくら受け取れるのか。

住居費はどうなるのか。

医療や介護にどれくらい備えておきたいのか。

家族に残したいお金はいくらなのか。

同じ5000万円でも、答えは人によって違います。

だから、使う前にまず「使っても大丈夫なお金」を考える。

ここでも、私は仕組みを作ってしまうのがいいと思っています。

生活のためのお金。

いざというときのお金。

これからも運用を続けるお金。

そして、人生に使っていいお金。

それぞれに役割を与える。

資産運用と同じです。

未来が分からないから、配分する。

そうやって「ここまでは使っていい」と決めてしまえば、少しお金を使いやすくなるかもしれません。

「消費」ではなく、「投資」だと思って使う

それでも、5000万円が4900万円になることさえ怖い人はいるでしょう。

40年間ずっと「貯めろ、減らすな」と考えてきたのだから、使うことに罪悪感がある。

私は、それも自然なことだと思います。

むしろ、お金を使うことに慎重な性格だったからこそ、5000万円を作れたのでしょう。

その性格を今さら否定する必要はありません。

だったら、「消費する」のではなく、「投資する」つもりでお金を使ってみてはどうでしょう。

誰かの夢に投資する。

子どもや孫の経験に投資する。

家族との時間に投資する。

自分の健康や学びに投資する。

現金をそのまま残すことだけが、家族にお金を残す方法ではありません。

「挑戦したいことがあるなら応援するよ」

「勉強したいなら出してあげるよ」

「みんなで旅行に行こう。今回は私が出すよ」

そんな使い方もあります。

自分で使い切れないのなら、生きているうちに大切な人と一緒に使う。

そうすれば「ありがとう」を直接聞くこともできます。

それでも使えないなら、私に託してくれれば代わりに使ってあげてもいいのですが。

……まあ、それは冗談として。

運用するか、使うか。その二択ではない

お金を使い始めたからといって、運用をやめる必要もありません。

私は老後の資産を、

「運用するか、使うか」

の二択だとは考えていません。

運用しながら、使えばいい。

若い頃のように資産額の最大化だけを目指すのではなく、株式、債券、現金などを組み合わせてリスクをコントロールしながら、少しずつ資産を人生へ戻していく。

値上がり益だけではなく、利息や配当などのキャッシュフローを意識した運用へ重心を移す方法もあります。

高配当株や高配当株ファンドなどを組み入れる考え方もあるでしょう。

私は、毎月分配型の投資信託についても「すべて悪い」とは考えていません。

もちろん、分配金は利益とは限りません。

元本を取り崩して分配している場合もあります。

コストや税金、分配の持続可能性を確認し、トータルリターンで考えることは必要です。

それでも、毎月お金が振り込まれることで資産を取り崩す心理的な抵抗が下がり、それによって実際に人生に使えるのなら、その「使いやすさ」にも意味があると私は思います。

金融理論上、効率的な取り崩し方と、その人が実際にお金を使える仕組みは、必ずしも同じではありません。

使いやすさも、金融商品の一つの機能です。

増やす。守る。そして、ちゃんと使う

資産形成期には、

「どうすれば増えるか」

を考えてきた。

これからは、

「どうすれば安心して使えるか」

も考えていい。

増やす。

守る。

そして、ちゃんと使う。

資産形成とは、通帳の数字を大きくすることだけではなく、人生で選べることを増やしていくことなのだと、私は思います。

今日が一番若いのは、あなただけではない

そして最後に、もう一つ。

今日が一番若いのは、あなただけではありません。

あなたの子どもも、孫も、パートナーも、大切な人たちも、今日が一番若いのです。

一緒に旅行するなら。

誰かの挑戦を応援するなら。

ありがとうと言ってもらうなら。

いつかではなく、今でもいい。

5000万円が4900万円になったとしても、必ずしも100万円を失ったわけではありません。

その100万円が、あなたや誰かの人生の何かに変わったのなら。

それも、一つのリターンだと思います。

まあ、幸せな悩みです。

急ぐ必要はありません。

ゆっくり考えてみてください。

でも、ときどき思い出してください。

投資に、人生を使いすぎないことを。

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