その投資信託、本当に乗り換える必要がありますか?

その投資信託、本当に乗り換える必要がありますか?

投資信託を選ぶとき、コストは大切です。

同じような運用をする商品なら、信託報酬などのコストは低い方がいい。

これは私もその通りだと思います。

最近では、インデックスファンドの低コスト化が進み、信託報酬が年0.1%前後の商品も珍しくなくなりました。

すると、こんなことが起こります。

今持っている投資信託の信託報酬が年0.10%。

そこへ、ほぼ同じような投資対象で、年0.06%の商品が登場する。

「新しい商品の方が安い。長期投資なら、乗り換えた方がいいのだろうか」

そんなことを考え始めます。

でも私は、すでに十分に低コストの商品を持っているなら、そこまで気にしなくてもいいのではないかと思っています。

0.04%の差はいくらなのか

たとえば1000万円を運用しているとして、0.04%は単純計算で年間4000円です。

もちろん、4000円だから無視していい、という話ではありません。

運用期間が長くなれば、コストの差も積み重なります。資産額が大きくなれば、金額としての差も大きくなります。

投資信託のコストは、低いに越したことはない。

ただ、ここでもう一つ考えてみたいことがあります。

その4000円を節約するために、自分は何をするのか。

ということです。

乗り換えるのも、けっこう大変です

まず、新しい商品について調べる。

今持っている商品と何が違うのかを比較する。

自分が使っている証券会社で取り扱っていなければ、別の証券会社を探す。

場合によっては口座を開設する。

今の投資信託を売却する。

現金化された資金を移す。

そして、新しい投資信託を買う。

NISAで保有している場合には、制度上の扱いも確認する必要があります。

現行NISAでは、商品を売却すると、その商品の取得金額に相当する非課税保有限度額は翌年以降に再利用できます。

ただし、売却したからといって、その年の年間投資枠が復活するわけではありません。

わずかなコスト差のために、ここまでやる必要があるのか。

私は一度考えてもいいと思います。

投資のコストは、信託報酬だけではない

投資商品の比較では、数字で表示されるコストに目が向きます。

信託報酬0.10%。

こちらは0.08%。

新しい商品は0.06%。

数字になっているので、比較しやすい。

でも、私たちが投資に払っているコストは、それだけではありません。

比較する時間。

調べる時間。

判断する時間。

乗り換える手間。

そして、

「もっといい商品があるんじゃないか」

と考え続ける注意力。

これも、投資に使っているコストです。

大きな差と、小さな差は分けて考える

もちろん、何でも「面倒だからそのままでいい」と言いたいわけではありません。

かなり以前に設定された高コストの投資信託を持っていて、同じような目的をもっと低いコストで実現できる商品がある。

あるいは、高いコストを払っている理由を自分でも説明できない。

そんな場合には、商品を見直す意味はあると思います。

年1%と年0.1%では、長期的な影響は無視できません。

一方で、すでに十分に低コストのインデックスファンドを持っていて、0.10%を0.06%にするために乗り換える。

この二つは、同じ「コストを下げる」という話でも、私は分けて考えています。

大切なのは、

低コストの商品を持つことと、常に最安値の商品を持ち続けることは違う。

ということです。

新しく投資するお金から変えてもいい

もっと低コストで、自分に合った商品が出てきた。

気になるのであれば、新しく投資するお金からそちらを買う方法もあります。

今まで積み立てた商品まで、必ずしも全部売る必要はありません。

投資信託は、新しい商品がこれからも出てくるでしょう。

そのたびに、

「0.02%安くなった」

「今度はこちらの方がいい」

と乗り換え続けていたら、いつまでたっても商品選びから卒業できません。

これはS&P500か全世界株式か、といった話でも似ています。

どちらにも合理的な理由があります。

それなのに、新しい記事や動画を見るたびに、

「やっぱりS&P500かな」

「いや、これからは全世界かな」

と考え直していたら、投資について考える時間はいつまでも減りません。

一度選んだら絶対に変えてはいけない、という意味ではありません。

自分の目的が変わった。

商品の性質が変わった。

明らかにもっと合理的な選択肢が出てきた。

そういうときには見直せばいい。

でも、数bpsの差が生まれるたびに、自分の投資をやり直す必要まではないと思います。

家計全体で考えてみる

1000万円の投資信託で、年間4000円のコストを減らすために休日の午前中を使う。

一方で、月1000円の使っていないサブスクリプションをそのままにしている。

年間では1万2000円です。

スマートフォンの料金プランを何年も見直していない人もいるでしょう。

もちろん、投資信託のコストを下げることと、通信費を見直すことは別の話です。

でも、お金全体を考えるのであれば、

簡単に減らせる大きなコストから考える。

という順番があってもいいと思います。

投資だけを完璧に最適化することが、家計全体の最適化とは限りません。

十分に良いものを持っているなら

投資信託のコストは大切です。

だから、商品を選ぶときには確認する。

明らかに高いコストを払っているなら、見直す。

でも、すでに十分に低コストで、自分の目的に合った商品を持っている。

だったら、

もっと良いものを探し続けなくてもいい。

新しく投資するお金から、もっと良い商品を選ぶくらいでもいいと思います。

数bpsを節約するために休日の午前中を使うより、使っていないサブスクを一つ解約して、そのあと散歩にでも出かける。

私なら、そちらを選ぶかもしれません。

このテーマを、もう少し考える

もっと良いものを探し続けなくてもいい
「投資の勉強は、いつまで続ければいいんだろう」

利益が出ていても、それだけでは売る理由にならない
「含み益が増えたら、利益確定した方がいいですか?」

投資について考える時間そのものを減らしてみる
「証券口座を閉じたあとも、相場を見続けていませんか?」

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