大学生の頃、いろいろなアルバイトをしました。
今から考えれば、大した責任のない仕事ばかりです。
でも、仕事を選ぶのは楽しかった。
家から近いから。
友達が働いているから。
ちょっと面白そうだから。
知らない世界を見てみたいから。
そんな理由で仕事を選んで、働き始めると、そこでまた知らない人に出会う。
今まで知らなかった世界が少し広がる。
アルバイトには、そんな楽しさがあったように思います。
社会人になると、仕事の選び方はずいぶん変わりました。
会社の知名度。
年収。
待遇。
安定性。
これまでのキャリアが生かせるか。
家族を持てば、なおさらです。
住宅ローンを払い、子どもを育て、将来のためにお金を貯める。
「ちょっと面白そうだから」という理由だけで仕事を選ぶのは難しくなります。
それは当然のことだと思います。
ただ、長い間そうやって働いていると、いつの間にか忘れてしまうことがあります。
仕事は、もっと「くだらない理由」で選んでもよかったということです。
資産が育つと、入金の意味も変わってくる
たとえば50歳で2,000万円の金融資産があり、毎年100万円を積み立てている人がいるとします。
まだ資産形成の途中です。
働いて、生活して、残ったお金を積み立てる。
この時期には、毎年の入金が資産形成で大きな役割を持っています。
では、その資産が55歳で5,000万円になったらどうでしょう。
もちろん、そこで運用をやめる必要はありません。
まだ55歳です。
これからも資産には働いてもらえばいい。
ただ、2,000万円だった頃と5,000万円になった後では、少し状況が違います。
資産が大きくなれば、その値動きも大きくなります。
5,000万円なら、3%動くだけで150万円です。
もちろん、毎年3%ずつ増えるという話ではありません。マイナスになる年もあります。
それでも、毎年100万円を追加することの意味は、2,000万円だった頃とは変わってきます。
だとすれば、それまでと同じ入金力を維持することだけが、唯一の選択肢ではありません。
年収を下げてもいい。
働く日数を減らしてもいい。
それまで選択肢から外していた仕事を、もう一度見てみてもいい。
資産が育ってきたら、自分が頑張る量を少し減らしてもいい。
私は、そう思います。
仕事を「くだらない理由」で選んでみる
一度、喫茶店で働いてみたかった。
寿司を握れるようになったら面白そうだ。
家から歩いて5分だから。
朝は早いけれど、午前中には仕事が終わるから。
海の近くで働いてみたいから。
そんな理由です。
人によっては、もう一度学校へ通ってみたいかもしれません。
アルバイトをしながら勉強する。
好きな服を着る。
髪の色を変えてみる。
季節ごとに住む場所を変える。
週に3日だけ働く。
夕方までには仕事を終える。
一つ一つは、人生を懸けるような大きな夢ではありません。
でも、経済的な理由や仕事上の制約で、長い間選択肢から外していたことは案外たくさんあるのではないでしょうか。
資産形成によって経済的な制約が小さくなれば、そういう選択肢をもう一度、自分の人生に戻すことができます。
大学生に戻ることはできません。
でも、大学生の頃に持っていた、
「ちょっとやってみたいから」
という仕事の選び方くらいは、取り戻してもいいのかもしれません。
働かなくなる必要はない
資産形成の先にある自由というと、早期リタイアを思い浮かべる人もいるかもしれません。
それも一つの生き方です。
でも、私は必ずしも仕事をやめたいわけではありません。
働くことで新しいことを知ったり、人と出会ったり、自分の経験が誰かの役に立ったりする。
そういうことは、これからもあっていい。
ただ、
働く理由を、収入だけにしなくてもいい状態にはなりたい。
資産がある程度育っていれば、生活費くらいを働いて稼ぎながら、資産には資産の仕事をしてもらうこともできます。
それまでのように高い入金力を維持する必要がなくなれば、仕事の選択肢はずいぶん広がります。
100から0にする必要はありません。
100を70にしてもいい。
50でもいい。
30でもいい。
完全に働かなくなる自由より、働き方を自分で選び直せる自由。
私は、そちらの方に惹かれます。
仕事を変えることにも、リスクはある
もちろん、50代で長く続けた仕事を離れれば、以前と同じ待遇の仕事に戻れるとは限りません。
家族の状況もあります。
教育費がまだ必要かもしれない。
住宅ローンが残っているかもしれない。
親の介護など、これから新しい支出が出てくるかもしれません。
そして、「やってみたかった仕事」が実際にやってみたら、それほど楽しくない可能性だってあります。
だから、ある金額まで資産が増えたら会社を辞めればいい、という話ではありません。
仕事を大きくダウンシフトするなら、慎重に考えた方がいい。
ただ、私は逆のリスクもあると思っています。
慎重であることを理由に、やりたかったことをずっと先送りすることです。
55歳でやってみたかったことを、65歳でも同じようにやりたいと思っているかは分かりません。
体力も変わる。
家族の状況も変わる。
自分の興味だって変わります。
金融資産が減るリスクは、証券口座を見れば分かります。
でも、
やりたかったことを10年先送りするリスクは、証券口座には表示されません。
資産を取り崩さなくても、資産を人生に使うことはできる
資産形成というと、お金を貯めて、増やして、いつか取り崩すものだと考えがちです。
でも、お金を人生に使う方法は、取り崩すことだけではありません。
5,000万円を持っていることで、年収の低い仕事を選べた。
週5日ではなく、週3日働くことにした。
東京から離れて暮らすことにした。
平日の午後に学校へ通えるようになった。
そのために資産を1円も取り崩していなかったとしても、
その資産は、すでに人生のために働いています。
長く資産形成を続けてきたのなら、いつか「もっと増やす」以外の使い方を考えてもいい。
何歳からそうするのか。
いくらあればいいのか。
それは、人によって違います。
もっと働いて、もっと資産を増やしたい人は、それでもいい。
今の仕事が好きなら、無理に働き方を変える必要もありません。
ただ、一度くらい考えてみてもいいと思います。
自分は何歳まで、資産形成を最優先にするつもりなのか。
家から近いから。
午前中で終わるから。
一度やってみたかったから。
そんな理由で仕事を選べるようになることも、長く資産形成を続けてきた人への、一つのご褒美なのかもしれません。
資産形成によって増えるのは、証券口座の数字だけではありません。
人生から、「選べない理由」が少しずつ減っていく。
私は、それも資産形成の成果だと思っています。
このテーマを、もう少し考える
貯めたお金を、そろそろ人生に戻してみる
→「5000万円貯めたあなたへ。そろそろ『使うこと』を考えてもいい」
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