暴落した日に、投資のルールを決めない

暴落した日に、投資のルールを決めない

YouTubeを見ていると、ときどき気になるタイトルが流れてきます。

「歴史的大暴落が来る」

「株価はここから半値になる」

「今すぐ逃げてください」

本当に暴落が来るのかもしれません。

来ないのかもしれません。

私には分かりません。

ただ、もしそんな動画を見て不安になり、

「いったん株を売って、暴落したら買い戻そう」

と思っているのなら、私はあまりおすすめしません。

売ることよりも、その後もう一度買うことの方が、ずっと難しいからです。

売ったあと、いつ戻るのか

株価が高いうちに売る。

暴落する。

安くなったところで買い戻す。

言葉にすると、とても合理的です。

問題は、「安くなったところ」がいつなのか、そのときには分からないことです。

株価が20%下がった。

まだ下がるかもしれない。

30%下がった。

ニュースでは景気後退が報じられている。

40%下がった。

専門家は「本当の危機はこれから」と話している。

そんな状況で、

「よし、そろそろ買おう」

と思えるでしょうか。

おそらく、もう少し待ちたくなる人の方が多いと思います。

そして株価が上がり始めても、

「これは一時的な反発だ」

と思う。

さらに上がると、

「今から買ったら高値づかみになる」

と思う。

気がつけば、自分が売った価格よりも上がっている。

市場から一度降りるということは、売るタイミングだけではなく、もう一度乗るタイミングまで自分で決めるということです。

暴落の近くには、大きく上がる日もある

相場の難しいところは、大きく下がる日と大きく上がる日が、意外と近くに現れることです。

VanguardがS&P500を使って行った試算では、1988年から2024年まで10万ドルを投資し続けた場合、資産は約490万ドルになりました。

ところが、その期間の上昇率上位10日を逃しただけで、約230万ドルです。

年率リターンでは11.1%から8.9%になります。

もちろん、これは過去の米国株を使った試算で、これからも同じ結果になるという話ではありません。

また、最も下がった日だけをうまく避けることができれば、当然結果は逆になります。

問題は、どの日が「最高の日」で、どの日が「最悪の日」なのかを、私たちは事前には知ることができないということです。

しかも、良い日と悪い日は近い時期に現れやすい。

実際、2025年4月の米国株では、1日に5%規模で下落するような激しい値動きの直後、4月9日には10%近く上昇する日がありました。

暴落から逃げたつもりが、その直後の大きな上昇まで逃してしまう。

それが長い期間積み重なると、結果には大きな差が生まれます。

暴落が来そうだから、株を減らすわけではない

では、暴落に備えて、平時から株を減らしておけばいいのでしょうか。

私はそうは考えていません。

「そろそろ暴落が来そうだから」という理由で資産配分を変えるのであれば、それも結局は相場予想です。

私なら、暴落が来るかどうかとは関係なく、自分で決めた資産配分を維持します。

株式60%、債券30%、現金10%と決めているのであれば、基本的にはそこへ戻す。

株価が大きく上がって株式が増えすぎたら売る。

反対に株価が大きく下がって株式が減り、事前に決めたリバランスの条件に達したら買う。

相場を見て判断するのではなく、平穏な日に決めたルールに従います。

もちろん、数年後に使う予定のお金まで株式で持っていたり、そもそも自分が耐えられないほど大きなリスクを取っているのであれば、平時のうちに配分を見直した方がいいでしょう。

でも、それは、

「来年暴落しそうだから」

ではありません。

自分の人生に対して、今の配分が合っているか。

そこから考える話です。

本当に暴落が来たら、自分を観察する

そして、本当に暴落が来たとします。

3000万円あった資産が、2100万円になった。

900万円減った。

毎日ニュースが気になる。

YouTubeを開くと、

「ここからさらに下がる」

という動画が並んでいる。

夜、なかなか眠れない。

仕事をしていても株価が気になる。

「もう売ってしまおうか」

と何度も考える。

そんなときは、一つ大切なことが分かったのかもしれません。

自分は、思っていたほどこのリスクを取れる人ではなかった。

これは、悪いことではないと思います。

平穏な相場で、

「30%くらい下がっても大丈夫です」

と言うのは簡単です。

でも実際に自分のお金が何百万円も減ったとき、自分がどう感じるかは、経験してみないと分からないところがあります。

だから私は、

暴落は、資産配分を変更するタイミングではなく、自分の資産配分が本当に自分に合っていたかを知るタイミング

でもあると思っています。

暴落中の自分を観察する

ただし、

「こんなに怖いということは、株を持ちすぎていたんだ」

と気づいた瞬間に、全部売ってしまう必要はありません。

まずは、自分を観察する。

どれくらい怖かったのか。

資産額を一日に何度確認したのか。

眠れたのか。

仕事や家族との時間まで相場に持っていかれなかったか。

そして、相場が落ち着いたときにもう一度考える。

次の暴落でも投資を続けられるようにするには、どんな配分ならいいのか。

そこで株式を減らすという判断をすることはあるでしょう。

債券や現金を増やすこともあるかもしれません。

それは暴落から逃げるためではありません。

次の暴落でも、市場から降りないためです。

一方、暴落の最中でも普段どおり生活できたのであれば、それも一つの答えです。

自分が考えていたリスク許容度と、実際の自分との間に、それほど大きな差はなかったのかもしれません。

平穏な日の自分から、指示書を残しておく

暴落した日に、冷静になろうとしても難しいものです。

だから、私は平穏な日に決めておく方がいいと思っています。

自分はどれくらい株式を持つのか。

株価が大きく下がったら、資産額はいくらになるのか。

それでも投資を続けられるのか。

どこまで配分がずれたら、元へ戻すのか。

そして本当に暴落が来たら、ニュースを見る前に、自分で決めたルールを見る。

暴落した日の自分に、新しい投資判断をさせない。

平穏な日の自分から、暴落した日の自分へ指示書を残しておく。

そんなイメージです。

次の暴落がいつ来るのか、私には分かりません。

2027年かもしれません。

もっと先かもしれません。

そもそも、私たちが想像しているような形では来ないかもしれません。

でも、

次の暴落で自分が何をするかは、今決めておくことができます。

未来を当てる代わりに、戻る場所を決めておく。

暴落した日こそ、その場所を思い出せばいいのだと思います。

このテーマを、もう少し考える

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